雇用保険法の改正


 平成13年4月1日から,雇用保険法が改正されます。 10数年振りの大きな改正になります。

 離職,転職を考慮されている方は,参考にしてください。 

 今回の改正のポイントは,

 ・失業手当の給付日数ダウン

 ・倒産・解雇で離職した場合,給付日数の上乗せ

 ・パート・派遣社員の雇用保険への加入要件の緩和

 ・教育訓練給付金の上限金額の変更

 雇用保険料率の変更

 この5つです。


 さて,各々で見てみますと,

 失業手当の給付日数ダウン,倒産・解雇で離職した場合,給付日数の上乗せ

 現在の給付日数は,一般被保険者の場合は,

離職時年齢・雇用保険加入期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 90日 180日 -
30歳以上45歳未満 90日 90日 180日 210日 210日
45歳以上60歳未満 90日 180日 210日 240日 300日
60歳以上 90日 240日 300日 300日 300日

です。

 短時間被保険者(パートタイマー),労働時間が週に22時間以上33時間未満の被保険者の場合は,

離職時年齢・雇用保険加入期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 90日 180日 -
30歳以上45歳未満 90日 90日 180日 180日 210日
45歳以上60歳未満 90日 180日 180日 180日 210日
60歳以上 90日 210日 210日 210日 210日

です。 

 一般被保険者,短時間被保険者も平成13年3月31日までに離職した場合です。

 平成13年4月1日以降に転職のため,自己都合の理由で離職した場合の一般被保険者は,

離職時年齢・雇用保険加入期間 5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢共通 90日 120日 150日 180日

 で,短時間被保険者は,

離職時年齢・雇用保険加入期間 5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢共通 90日 120日 120日 150日

 です。

 倒産,解雇などのケースで,一般被保険者は,

離職時年齢・雇用保険加入期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 210日
30歳以上45歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上 90日 150日 180日 210日 240日

 で,短時間被保険者は,

離職時年齢・雇用保険加入期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 90日 150日 180日
30歳以上45歳未満 90日 90日 150日 180日 210日
45歳以上60歳未満 90日 180日 210日 240日 300日
60歳以上 90日 150日 150日 180日 210日

 です。


パート・派遣社員の雇用保険への加入要件の緩和

 現行法での雇用保険への加入できる要件は

・一週間の就業時間が,22時間以上

・一年以上の雇用が見込まれること

・年収が90万円以上

 この3つです。 パートタイマーもこの3つをクリアーし,今でも雇用保険に加入している人はたくさんいます。 今回の改正では,3番目の年収要件が外れます。

 派遣社員は,1年以上同一派遣元で雇用が見込まれる場合には,雇用保険への加入が可能となります。


教育訓練給付金の上限金額の変更

 教育訓練給付の支給上限額が,20万円から30万円にアップします。

 教育訓練給付金の変更は,平成13年1月1日からの改正です。


雇用保険料率の変更

 現行の雇用保険率は,

事業の種類・項目 雇用保険料率 労働者負担分 事業主負担分
農林水産,清酒製造,建設業以外の事業 11.5/1,000 4/1,000 7.5/1,000
農林水産業,清酒製造業 13.5/1,000 5/1,000 8.5/1,000
建設業 14.5/1,000 5/1,000 9.5/1,000

 改正後の料率は,

事業の種類・項目 雇用保険料率 労働者負担分 事業主負担分
農林水産,清酒製造,建設業以外の事業 15.5/1,000 6/1,000 9.5/1,000
農林水産業,清酒製造業 17.5/1,000 7/1,000 10.5/1,000
建設業 18.5/1,000 7/1,000 11.5/1,000

 です。


改正の背景および効果

 さて,改正の背景について考えてみます。 現状の雇用保険法の受給では,自分は思いとおり受給できない人に不満があります。 具体的には,

 
すぐに受給できると,あてにしていたのに3ヶ月の給付制限があり,受給するまで100日以上もかかる。  何のための失業給付だとなるのです。 

 雇用契約満了の場合は,倒産,解雇と同様に給付制限がかからず,すぐに失業給付を受給できる。   予定されている失業であれば,前もって仕事を探すことができるのではないかの疑義。 

 都道府県庁,市町村役場の臨時筆耕職員は,雇用保険に加入している地方公共団体とそうでない場合  がある。勤務形態,勤務時間など,多少の相違はあるものの,法律だから日本全国に同じ網がかかるは  ずなのに差が大きい。
   
  ・・・・・・などです。

 今回の改正は不公平感の解消に,大きく貢献すると思います。

 さて,通常の年は,1月に離職者が他の月より多くなります。 離職を考えている人が,12月にボーナスを貰うまでは我慢し,貰ってから会社を辞めるからです。 1月は辞めた人の欠員補充で求人が増え,辞めた人も新しい仕事を探しますから求職者も増加します。

 今年に限っては,4月以降も働こうと思っていた人も給付日数の減少が,離職へのトリガーになることがあると考えられます。 

 特に,中高年齢者層で離職者が増えるでしょう。
 
 給付日数減少の理由に,財政の逼迫もあります。 雇用保険は事業主負担分と労働者の賃金から天引される雇用保険料によって,運用されます。 不況が長くなりますと雇用労働者が減少します。雇用労働者が減少しますと雇用保険料が入りません。 

 逆に,失業者が多くなりますと失業給付金の支給が増加します。 入るお金は少なくなる,支給する分は増加する論理となり,収支のバランスから料率のアップとなるわけです。

 もっとも,雇用保険料は好況時には下がります。 バランスを考慮してあるようです。


アドバイス

 現状の雇用情勢は,不景気の底は脱して,多少の明るさは見えるものの,再就職への道は厳しいものがあります。 安定した仕事に就いている人は,安易な離職は控えるべきです。 

 雇用保険を掛けた分だけは,取り戻したい人もいるでしょう。 しかし,離職の後,再就職できる保証はありません。 失職すれば,確実につぎの仕事が見つかるとは誰も言えないのです。


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